【第6話】身体だけを見ても、答えが出ないことがありました。
前回は、「歩けるようになるための病院と整体、それぞれの役割」についてお話ししました。
ここまで、筋力、手術、痛み、家族との関わり、病院と整体、それぞれの役割についてお伝えしてきました。
しかし、理学療法士として臨床経験を積む中で、私はある症例と出会います。
その方は20代の男性でした。
腰痛があり、病院や整体、鍼など、様々なところへ通っていました。
それでも改善せず、私のところへ来られました。
身体を評価しても、大きな異常は見当たりません。
もちろん筋肉や関節の硬さはありましたが、それだけでは今の症状を説明できない違和感がありました。
そこで私は、身体だけではなく、今の生活について話を聞いてみました。
すると、その方は進路について悩んでいました。
「本当はやりたいことがある。」
「でも親に言えない。」
そんな思いを抱えたまま生活していたのです。
私は施術をしながら、一つだけ提案しました。
「一度、ご両親に自分の本当の気持ちを伝えてみませんか。」
数日後、その方は来院され、
「進路を決めました。」
と笑顔で話してくださいました。
そして、
「腰痛もほとんど気にならなくなりました。」
その後はセルフケアだけをお伝えし、施術は終了しました。
もちろん、すべての腰痛がこのような理由で起こるわけではありません。
骨折や椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症など、病院で検査や治療が必要なケースも数多くあります。
だから私は、身体の評価や医学的な視点を軽視することはありません。
しかし、この症例を通して、私は一つのことを強く感じました。
身体だけを見ても、答えが出ないことがある。
その人がどんな思いで生活しているのか。
何を我慢しているのか。
どんな不安を抱えているのか。
そうした背景が、身体の状態に影響していることもあるのです。
この経験は、私の理学療法士としての考え方を大きく変えました。
筋肉や関節だけを見るのではなく、その人自身を見る。
身体だけではなく、生き方や心の状態も含めて考える。
その視点が、現在の私の施術につながっています。
次回はいよいよ、このシリーズのまとめです。
なぜ私は、身体だけではなく、心・魂・霊的影響まで含めて総合的に見るようになったのか。
その考え方についてお話ししたいと思います。
