第3話 腰痛だけを診ていたわけではありませんでした 腰痛と感情
前回までのお話では、
歩くと腰が痛くなる原因として、
足首や仙骨に着目し、身体の土台を整えることで大きく改善したことをお伝えしました。
しかし、施術を続けていく中で、私はもう一つ気になることがありました。
それは、腰の反応です。
私には、腰のあたりに悲しみや自己否定を抱えているような身体反応として感じられました。
もちろん、この時点では現在のように霊的影響や魂との関係まで整理できていたわけではありません。
当時は身体反応として受け取っていました。
そこで話を聞いていくと、彼は今通っている学校とは違う道へ進みたいという思いを、ずっと心の中に抱えていました。
しかし、
親にどう言えばいいのか。
本当にその道へ進んでいいのか。
その迷いが大きく、自分の本音を押し込めていたのです。
私は彼にこう伝えました。
「挑戦して違ったなら、それは経験になります。
でも、本当は行きたかったのに挑戦しなかった後悔は、後から取り返しがつかないこともあります。」
ただし、
勢いで親に話すのではなく、
まず自分はなぜその道へ進みたいのか。
何を大切にしたいのか。
そこを自分の中で整理してから話してみたらどうだろう、と伝えました。
すると彼は、
自分の考えをしっかりと言葉にして話し始めました。
私はその時、
「この人は意思を伝えられない人ではない。」
そう感じました。
本来の思いを抑えていただけだったのです。
その後も身体は順調に変化していきました。
痛みが減ったことももちろんですが、
それ以上に変わったのは、
自分の意思を表現できるようになってきたことでした。
今振り返ると、
身体。
感情。
エネルギー。
そして魂の方向性。
すべてが一つにつながっていたのだと思います。
ただ、当時の私はまだそこまで理解できていませんでした。
いや、
正確には、その世界へ踏み込もうとはしていませんでした。
彼は最後に、
「親に話してみます。」
そう言って帰っていきました。
私は、その言葉がとても印象に残っています。
短いリハビリの時間。
たった数回の関わり。
それでも、人は変わることがあります。
一般的には、
信頼関係を築いて、少しずつ変化していくと言われます。
もちろん、それも大切です。
しかし私は、多くの患者さんと関わる中で、もう一つ感じてきたことがあります。
本当に必要なタイミングでは、遠回しな優しさよりも、本質を伝える勇気の方が、その人を前へ進ませることがある。
もちろん、何でも言えばいいわけではありません。
言わないことが優しさになる場面もあります。
しかし、
大切な時に、大切なことを伝える。
それもまた、一つの優しさなのではないか。
私は今、そう考えています。
次回予告
そして私は、この症例を通して、一つの確信に近づいていきました。
身体だけを整えても、本当の意味では変わらない。
では、人が本来の自分へ戻るために、本当に必要だったものとは何だったのでしょうか。
