【第2話】病院で学んだこと、そして限界を感じ始めたこと
前回は、90代の女性との出会いをお話ししました。
最初は「もう死にたい」と話されていた方が、少しずつ食事ができるようになり、立ち上がり、最終的には杖なしで30〜40分歩けるまで回復されました。
しかし、その方は自宅へ帰ることは選ばず、自ら施設へ入ることを決められました。
介護サービスなどを利用すれば自宅で生活できる状態でしたが、それでも「家族に迷惑をかけたくない」というご本人の意思を尊重することになりました。
この経験から私は、一つのことを学びました。
身体が回復すれば、それだけで人生が変わるわけではないということです。
病院では本当に様々な方と出会いました。
少しのきっかけで急に元気になる方。
身体は回復しているのに、前へ進めない方。
逆に重い病気でも、「家へ帰りたい」という強い思いで驚くほど回復される方。
そこには筋力だけでは説明できないものがありました。
もちろん、食事や運動、病気の状態はとても大切です。
しかし、それだけでは説明できない場面を何度も経験しました。
だから私は、身体だけではなく、心理学やコーチング、東洋医学にも興味を持つようになりました。
さらに、筋膜リリースや徒手療法、神経筋促通法、運動療法など、様々な技術や考え方を学びました。
「もっと違う視点があるのではないか。」
そう思い、学び続けたのです。
一方で、病院という組織で働く中では、別の限界も感じるようになりました。
病院はチーム医療です。
医師、看護師、介護士、管理栄養士、理学療法士など、多くの専門職が協力して患者さんを支えます。
その仕組みはとても大切です。
しかし現実には、組織としての方針や役割があり、自分が「こうした方がもっと良くなる」と思っても、すぐに変えられるわけではありませんでした。
責任者の判断や病院全体の方針もあります。
一人の努力だけでは変えられない壁があることも、現場で実感しました。
私は病院を否定したいわけではありません。
むしろ、多くの命を支える素晴らしい場所です。
だからこそ、その中で働いたからこそ見えた限界もありました。
そして私は、身体だけでは説明できないこと、組織の中ではできないことを、もっと学びたいと思うようになったのです。
それが、私が整体という世界へ興味を持ち始めた大きなきっかけでした。
次回は、なぜ私が理学療法士から整体師という道へ進むことを決めたのか、その転機についてお話ししたいと思います。
