「まだできるから続ける」だけで、本当にいいのか?

デイサービスで働いていた頃、すくみ足があり、立ち座りにも時間がかかる男性に関わったことがあります。
まだ歩くことはできていました。
しかし、自宅の玄関までには5〜6mほどの移動があり、さらに20cm以上ある大きな段差が3〜4段ありました。
介助するのは70代の奥様でした。
次第に本人には打撲の跡が増え、奥様自身も身体のあちこちに湿布を貼るようになっていました。
それでも奥様は、
「私が頑張ります」
と言われていました。
ここで私が考えたのは、
「まだ歩ける」という事実だけを見て、この生活を続けていいのか
ということでした。
歩行能力を維持することは大切です。
だから、歩くことそのものをやめる必要はありません。
安全な場所では歩行練習をする。
一方、段差があり、毎回家族の大きな介助を必要とする場所では、車椅子や福祉用具、介護サービスを使う。
私は、「能力を維持するための練習」と「生活するための移動」を分けて考える必要があると思いました。
これは、現在の陰陽整体でも大切にしている考え方につながっています。
私は施術によって身体やエネルギーの状態を整えるだけで終わりとは考えていません。
状態が変わったあと、
今の仕事を続けるのか。
人との関わり方を変えるのか。
今までと同じ生活を続けるのか。
何をやめ、何を選ぶのか。
実際の現実を本人と一緒に確認します。
「まだできるから続ける」ことが、その人にとって必要な場合もあります。
反対に、できることと、これからも同じ方法を続けることを分けて考えた方がいい場合もあります。
答えをこちらが決めるのではありません。
今、その人に何が起きているのか。
その状態で今の生活を続けた先に何があるのか。
身体だけでなく、生活や周囲との関係まで確認したうえで、本人が自分で選択していく。
私はそこまで含めて、その人の状態を見ることを大切にしています。

