なぜ、他人のことばかり考えて自分を見失ってしまうのか?
気を整えることと、自分を主語にして生きること ―
「あの人はどう思っているのだろう」
「相手にどう伝えればいいのだろう」
「自分が何とかしなければいけない」
このように、日常生活の中で他人のことばかり考えてしまう経験はないでしょうか。
もちろん、相手を思いやることや、周囲の状況を考えることは大切です。
しかし、他人のことを考える時間が増える一方で、自分自身のことが分からなくなってしまう方もいます。
自分が何をしたいのか分からない。
何から取り組めばよいのか分からない。
何かを決めるときには、誰かの意見を聞かないと不安になる。
なぜ、このような状態になるのでしょうか。
今回は、自分自身に意識を向けることと、気を整えることの関係について考えてみたいと思います。
他人に意識を向けることと、自分を見失うことは同じではない
まず、他人のことを考えること自体が問題なのではありません。
仕事で相手の立場を考えること。
家族の状況を確認すること。
困っている人に対して、自分に何ができるのかを考えること。
これらは、人と関わりながら生活していくうえで必要なことです。
では、何が問題になるのでしょうか。
私は、自分自身に意識を向けないまま、他人のことばかり考えてしまうことにあると考えています。
例えば、相手から何かを頼まれたとします。
本来であれば、
「自分には対応できるのか」
「今、それを引き受ける必要があるのか」
「自分はどうしたいのか」
ということを確認する必要があります。
しかし、自分自身の状況を確認する前に、
「断ったら相手が困るのではないか」
「嫌われるのではないか」
「自分が何とかしなければいけない」
と考えてしまう。
その結果、自分が何を望んでいるのかを確認しないまま、相手の希望を優先してしまうことがあります。
相手を思いやることと、相手の問題を自分が引き受けることは同じではありません。
気が分散している状態とは何か
私は、陰陽整体の中で「気」や「エネルギー」という視点を大切にしています。
ただし、ここでいう気の分散は、集中力の低下などの医学的な原因を説明するものではなく、私自身が人の状態を捉える際の考え方です。
例えば、一つの仕事に取り組んでいるとき。
目の前の作業に集中していれば、何をする必要があるのかを確認しながら進めることができます。
しかし、作業をしながら、
「あの人は今、何をしているのだろう」
「さっきの言葉はどういう意味だったのだろう」
「明日はどうなるのだろう」
と、さまざまなことを考えているとどうでしょうか。
目の前の作業に意識を向けにくくなることがあります。
私は、このように自分が今取り組むべきことから意識が離れ続けている状態を、気が分散している状態として捉えています。
もちろん、集中できないことや物忘れが増えることには、睡眠不足、疲労、ストレス、病気など、さまざまな要因が関係します。
そのため、こうした状態をすべて気やエネルギーの問題として捉えるわけではありません。
私が今回お伝えしたいのは、自分の意識がどこに向いているのかを確認することです。
自分を主語にして考えていますか?
例えば、仕事を辞めるかどうか迷っている方がいるとします。
「上司がどう思うだろう」
「同僚に迷惑をかけるのではないか」
「家族に反対されるのではないか」
もちろん、仕事を辞めるという選択には、収入や生活などの現実的な問題があります。
周囲への影響を考えることも必要でしょう。
しかし、そこで一つ確認していただきたいことがあります。
「私は、どうしたいのか」
ということです。
仕事を続けたいのか。
別の仕事に挑戦したいのか。
今の環境で改善できることはないのか。
そもそも、なぜ辞めたいと思っているのか。
こうしたことを確認しないまま、周囲の意見だけで判断してしまうと、自分が何を目的として選択しているのか分からなくなることがあります。
反対に、自分の意思だけを優先して、収入や生活などの現実を無視してしまうことも適切ではありません。
大切なのは、自分の意思を確認したうえで、現実の条件と照らし合わせることです。
私は、これが自分を主語にして考えるということだと思っています。
自分に意識を戻すことは、他人を無視することではない
ここで誤解していただきたくないのは、自分を大切にすることと、他人を無視することは違うということです。
例えば、家族が困っているとします。
そのときに、自分ができる範囲で手助けをすることは、一つの選択です。
しかし、相手が本来行うべきことまで、すべて自分が引き受ける必要があるのでしょうか。
相手が自分で判断する機会を奪ってしまう場合もあります。
また、自分自身が疲れ切ってしまうこともあるでしょう。
だからこそ、
「自分にできることは何か」
「自分が引き受ける必要のあることは何か」
「相手自身が行うべきことは何か」
という境界線を確認する必要があります。
他人に意識を向ける前に、まず自分自身の状態を確認する。
そのうえで、相手とどう関わるのかを選択する。
私は、この順番が大切だと考えています。
気を整えることと、現実の行動はつながっている
では、自分自身に意識を向けるためには、どうすればよいのでしょうか。
例えば、深呼吸をする。
身体を休める。
自然の中で過ごす。
こうした方法によって、気持ちが落ち着いたり、自分の状態を確認しやすくなったりすることがあります。
陰陽整体では、身体の状態を確認し、必要に応じて身体周囲のエネルギーの偏りや、霊的・エネルギー的な干渉についても確認します。
そして、状態を整え、本来の自分の軸へ戻していきます。
しかし、ここで終わりではありません。
例えば、他人から頼まれたことを断れずに悩んでいる方がいたとします。
身体やエネルギーの状態を整えることで、ご本人が楽になったと感じる場合があるかもしれません。
しかし、再び同じような依頼を受けたとき、以前と同じように引き受けてしまえば、また負担を感じる可能性があります。
つまり、自分の状態を整えることと、現実の行動を変えることは、つながっているけれど同じではないということです。
自分の状態を整える。
自分がどうしたいのかを確認する。
現実の状況を確認する。
そして、自分で選択して行動する。
次に同じような場面があったとき、自分がどう対応できたのかを確認する。
私は、この一連の流れを大切にしています。
自分の人生を、誰の基準で決めていますか?
私たちは、人と関わらずに生きていくことはできません。
仕事でも、家庭でも、さまざまな人との関係があります。
その中で、相手の意見を聞くことも、周囲の状況を考えることも必要です。
しかし、他人の意見を聞くことと、他人に自分の人生を決めてもらうことは違います。
自分の意思を確認することと、自分の考えだけを押し通すことも違います。
私は、気を整えるということを、自分自身に意識を戻し、今の自分が何を考え、何を望んでいるのかを確認することとしても捉えています。
そして、そのうえで現実と向き合うことが大切だと考えています。
誰かの期待に応えるためだけではなく、自分自身が納得できる選択をする。
もちろん、すべてを思い通りにできるわけではありません。
それでも、今の自分にできることを考え、選択していくことはできます。
身体やエネルギーを整えることも、最終的には、自分自身の人生を生きるためのものではないでしょうか。
あなたの世界の主人公はあなたです。

