元の状態に戻らなければ、やりたいことはできないのか?
以前、仕事復帰を目標にリハビリをしていた40代の男性を担当しました。
下半身が思うように動かず、最初は立ち座りもほとんどできませんでした。
それでも、この方には、
「仕事に戻りたい」
という希望がありました。
リハビリによって身体は少しずつ変わりました。
立ち座りができる。
トイレへ自分で行ける。
ロフストランド杖を使って歩ける。
しかし、元の身体へ完全に戻ったわけではありません。
屋外を安定して歩き続けることには難しさが残っていました。
では、
元のように歩けるまで、仕事へ戻ることもできないのでしょうか。
「仕事に戻る」を分けて考えてみる
この方は土木関係の仕事をしていました。
仕事内容を聞いていくと、
現場を見る。
見積もりをする。
クライアントと話す。
車で移動する。
さまざまな役割がありました。
すべてに「以前と同じように歩ける身体」が必要なわけではありません。
歩くことが難しい場所では車椅子を使う。
一人で難しければ誰かと一緒に行く。
本人にしかできない判断や説明は本人が行う。
利用できる制度については、その分野の専門職につなぐ。
そう考えていくと、
元の身体に戻ることと、元の役割へ戻ることは別に考えられる
ことが見えてきました。
この方は最終的に退院し、職場へ復帰していきました。
「完全に元へ戻ること」を条件にしない
この経験は、現在の陰陽整体で大切にしている考え方にもつながっています。
陰陽整体では、身体の状態を確認し、必要に応じて身体周囲のエネルギーの偏りや霊的・エネルギー的な干渉についても確認します。
状態を整え、本来の自分へ戻していく。
ただし、本来の状態へ戻すことだけが目的ではありません。
そのあとに現実を確認します。
今の仕事はどうなのか。
人間関係はどうなのか。
これまでのやり方を続けたいのか。
何を変えたいのか。
今の自分にできることは何なのか。
そして、これから何を選ぶのか。
できないことが残っていても、選択肢までなくなるわけではない
身体が以前と同じではない。
仕事の環境も以前と違う。
人間関係も変わっている。
そうした現実を無視して、
「元の自分へ戻れば全部解決する」
とは考えていません。
できないことがあるなら、それを確認する。
同時に、今できることも確認する。
方法を変えればできるのか。
誰かの力を借りればできるのか。
そもそも今も、それをしたいのか。
今ある現実を見たうえで、自分がこれからどうしたいのかを選ぶ。
そして実際の日常でやってみる。
次に会ったときには、その選択によって何が起きたのかをもう一度確認する。
この男性にとって「歩くこと」が仕事へ戻るための一つの手段だったように、身体を整えることも、その人が自分の人生を生きるための一つの過程です。
本来の自分へ戻ったあと、何を選び、どう生きるのか。
私はそこまで含めて陰陽整体だと考えています。
身体について学び、いろいろ試してきても、なぜか自分自身の不調には対処しきれない。
身体の不調の背景には何があるのか。
人と深く関わる仕事をしている人自身が、不調を抱えるのはなぜなのか。
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