【第5話】整体だけでは解決できないこともある ― 病院と整体、それぞれの役割
前回まで、私自身の骨折と長いリハビリ生活についてお話ししてきました。
今回は、理学療法士、そして整体師として多くの方と関わってきた経験から、「病院と整体、それぞれの役割」についてお伝えします。
私は整体師だからといって、何でも整体で良くなるとは考えていません。
むしろ、病院で手術が必要と判断された場合は、まず主治医の先生とよく相談し、適切な治療を受けることが大切だと考えています。
例えば、股関節の変形です。
整体やリハビリで改善するケースもありますが、変形が進行し、日常生活に大きな支障が出ている場合は、早い段階で手術を検討した方が、その後の生活の質が良くなることも少なくありません。
実際に私が関わった方の中にも、
「もっと早く手術をしておけば良かった。」
と話される方が何人もおられました。
一方で、脊柱管狭窄症は少し考え方が違います。
歩ける距離やしびれの程度、筋力、生活状況などを総合的に判断する必要があります。
保存療法やリハビリ、整体によって改善する方も少なくありません。
だからこそ、「手術しかない」「整体だけで良くなる」と極端に考えるのではなく、主治医と十分に相談しながら判断することが大切です。
膝の変形性膝関節症も同じです。
以前、整体へ来られた方で、
「歩くより四つ這いの方が楽です。」
と話された方がおられました。
病院ではすでに手術を勧められていました。
私はその方に、
「整体ではなく、まず主治医の先生とよく相談してください。」
とお伝えし、整体の継続をお断りしました。
整体を否定したわけではありません。
私自身、病院での術前・術後のリハビリを数多く経験し、整体師としても多くの症例を見てきたからこその判断でした。
身体には、それぞれ適切な治療のタイミングがあります。
だから私は、病院と整体を対立するものではなく、それぞれ役割が違うものとして考えています。
そして、もう一つお伝えしたいことがあります。
骨折は身体のケガです。
しかし、私自身はその経験を通して、「一度立ち止まり、自分の人生を見直すきっかけ」でもあったと感じています。
もちろん、すべての骨折にその意味があると言うつもりはありません。
これはあくまでも私自身が経験して感じた一つの視点です。
実は私は最初から理学療法士を目指していたわけではありません。
ガソリンスタンドで約3年半働いていました。
その頃にも骨折や頭部を打つ経験がありました。
その一つ一つの経験が積み重なり、
「自分もリハビリの仕事に携わりたい。」
そう思うようになり、理学療法士の道へ進みました。
振り返ってみると、あの骨折が私の人生の大きな転機だったのです。
だから私は今でも思います。
出来事には苦しさだけではなく、その先の意味があることもある。
その意味は、すぐには分からないかもしれません。
しかし時間が経った時、「あの経験があったから今がある」と思える日が来ることもあります。
次回は、この骨折の経験がどのように理学療法士、そして整体師、さらに今の陰陽整体へとつながっていったのか、その歩みについてお話しします。
