【第6話】専門家を頼ることは、弱さではない
前回まで、私自身の骨折やリハビリ、そして理学療法士・整体師としての経験についてお話ししてきました。
今回は、私が臨床を通して一貫して感じてきたことをお伝えします。
それは、
「それぞれの専門家には、それぞれの役割がある。」
ということです。
私は理学療法士として、骨折だけではなく、肺炎や心不全などの内科疾患の患者さんも数多く担当してきました。
肺炎は決して軽く考えてはいけない病気です。
実際に救急車で運ばれ、酸素や点滴、さまざまな管につながれた状態からリハビリが始まる方を何人も見てきました。
そうした方々に共通していたのは、
「最初は風邪だと思っていた。」
ということでした。
一週間ほど様子を見ているうちに重症化し、救急搬送されるケースは決して珍しくありません。
リハビリでは、まず身体を起こすところから始まります。
座る。
立つ。
歩く。
その一つひとつを、呼吸状態や血圧、転倒の危険性などを確認しながら少しずつ進めていきます。
また、肺炎の方は心不全など心臓の病気を合併していることも少なくありません。
だから私は、
「何かいつもと違う。」
そう感じた時には、まず病院で検査を受けてほしいと思っています。
そして、もう一つ臨床で感じたことがあります。
それは、
食事の大切さです。
口から食べられるようになると、表情が変わり、会話が増え、回復が進む方を何人も見てきました。
噛んで食べる。
飲み込む。
その一つひとつが身体の回復につながっていきます。
だから私は、食事も治療の一つだと考えています。
また、股関節の手術についても多く経験してきました。
現在は人工股関節や部分置換術など医療は大きく進歩しています。
術後のリハビリも早期から始まり、一か月ほどで退院される方も珍しくありません。
しかし、股関節だけを見ればいいわけではありません。
股関節が悪くなると、骨盤、腰、膝へと負担が広がります。
身体はすべてつながっています。
だから私は、足だけではなく、一つのユニットとして身体全体を見ることが大切だと考えています。
もちろん、手術をするかどうかは主治医の先生とよく相談してください。
年齢や生活環境、画像所見など、総合的に判断して決めるものだからです。
私がお伝えしたいのは、
自分の身体の状態を知ろうとすること。
その姿勢がとても大切だということです。
整体にも役割があります。
しかし、病院にも役割があります。
呼吸が苦しい。
咳が止まらない。
歩くだけで息切れがする。
それを「自律神経だから」「疲れているだけだから」と決めつけるのではなく、まず病院で診てもらうことが大切です。
逆に、病院で検査を受け、大きな異常がなければ、その後に整体や運動、生活習慣の見直しなど、次の段階へ進めばいいのです。
私はこれまで、手術前、手術後、骨折、内科疾患など、多くの方と関わってきました。
その経験から言えることは、一つだけです。
一つの方法だけで身体は良くなりません。
病院。
食事。
運動。
生活習慣。
整体。
趣味。
人とのつながり。
それぞれが重なり合って、人は回復していきます。
だから私は、身体を総合的に見ることを大切にしています。
一つが駄目だったから、すべて駄目。
そうではありません。
いくつもの視点から自分の身体と向き合うこと。
それが、本当の回復につながる第一歩だと私は考えています。
