【第4話】家族との関わりで、回復は大きく変わる
- 前回は、「痛みがあるから歩けないわけではない」ということをお伝えしました。
今回は、理学療法士として多くの患者さんを担当する中で感じた、「家族との関わり」についてお話しします。
私は病院で多くの高齢者の方を担当してきました。
その中で強く感じたことがあります。
それは、
回復は本人だけの力ではなく、家族との関わり方によって大きく変わる
ということです。
毎日のように病院へ来られ、一緒にリハビリを見守るご家族もいました。
退院後の生活を一緒に考え、福祉用具や住宅環境を早めに準備されるご家族もいました。
そのようなケースでは、退院も比較的スムーズに進むことが多くありました。
一方で、
「全部私がやります。」
そう言われるご家族も少なくありませんでした。
その気持ちは本当に素晴らしいと思います。
しかし、その結果、ご家族自身が身体を壊してしまうことも実際にはありました。
また、自宅には玄関の段差や階段があります。
病院ではできても、自宅ではできないこともあります。
「私が抱えて上げます。」
その気持ちだけでは、毎日の生活は続きません。
だからこそ、福祉用具や介護サービスを利用することは、「甘え」ではなく、生活を続けるための大切な選択なのです。
もう一つ、印象に残っていることがあります。
それは、ご家族が焦ってしまうケースです。
「もっと早く歩いて。」
「もっと頑張って。」
本人を思う気持ちから出た言葉です。
しかし、その言葉が本人にとって大きなプレッシャーとなり、逆に意欲を失ってしまう方もいました。
反対に、
本人のペースを大切にし、
「今日はここまで頑張ったね。」
そう寄り添うご家族のもとでは、少しずつ回復していく姿も数多く見てきました。
私は、この経験から一つのことを学びました。
回復とは、筋力や関節だけで決まるものではありません。
身体だけでもありません。
家族との関係。
安心できる環境。
本人の気持ち。
そういったものが重なり合って、初めて前へ進めることがあります。
だから私は今でも、
身体だけを見ることはありません。
その人を取り巻く人間関係や生活環境も含めて見ていきます。
身体は、一人で存在しているわけではありません。
人との関わりの中で変化していくものなのです。
次回は、「病院と整体、それぞれの役割」について、理学療法士と整体師の両方を経験した立場からお話しします。
